山本博文の北ルソンコーヒー探訪記⑮

サガダでの二つのセミナー

 

 昨年の9月にこのブログを更新して以来。びっくりするぐらい忙しくなりました。実は今日本にいます。反町さんから、フィリピンのまとめを書きなさい!と叱咤激励をいただいたので、また忙しくなる前に、ズバッとまとめていきたいと思います。まぁ、まとめというか、経時的におこなってきたことを書いていこうと思います。

 

 まずは、コーヒー提言的なものを書きました。題名は「Coffee Proposal: Establishing of coffee farmers’ resilient and sustainable coffee industry in Philippines」。フィリピンコーヒーのサステイナブルなコーヒー産業の構築のため、そして、農家さんのレジリエンス(復元力とか耐久力)の強化のためのコーヒー産業の構築と題して、書きました。セミナーやミーティングだけでは、どうも説得力に欠けたりするので、いっそ提言として書いてみようということでした。

 

 

 それから、サガダという場所で、ぼくが所属していた大学のプロジェクトが行われておりまして、そこで焙煎のワークショップをおこないました。プロジェクトの内容は、基本的には堆肥の種類と量を変えたフィールド調査。どういった堆肥をどのぐらい使用すれば、効果的に収穫量を増やすことができるかというものです。そのプロジェクトの一部に、収穫されたコーヒーを商品にして販売することも含まれていまして、今回はその商品化(焙煎)のために行きました。

 サガダという場所は、ルソン島の真ん中らへん。山々に囲まれた地域にあります。ぼくが住んでいる地域からバスで6時間。マニラから12時間といったところです。遠いです。今回は、大学のバンを使用して、向かいました。6時間かかるところを3時間で到着するという、随分とスリリングなワインディングロードを通って、酔いながらサガダへ到着しました。

 

 

 さて、彼らが使用している焙煎機は、熱風式と呼ばれるもので、フィリピン人が作り出した純粋なMade inフィリピンの焙煎機です。焙煎終了温度を設定して、ボタンを押すと自動的に焙煎されるというものです。とても素晴らしい焙煎機です。ただ、微妙な焙煎の調整ができないので、単調な味になってしまいます。なので、いろいろ試行錯誤の上、焙煎を2回に分けて行うことによって、ある程度、香味に変化が出るので、ある意味、苦肉の策でそのようにしました。まぁ、彼らが気に入って、販売する意欲があるのであれば、ぜひこれからもそれで、販売してもらえればいいと思います。

 

 

 そして、その数週間後、またこのサガダに行きました。今度は、フィリピン政府系の「技術産業省」のプログラムできました。2泊3日のプログラムで、フィリピン全土の技術産業省の偉い方々が集まる会です。そこで、ぼくは、「こういったコーヒーの品質基準を作ったらいいんじゃないでしょうか」といった提案をしました。まぁ残念ながら、政府系の人々ですから、真面目に聴講していませんでした。彼らの頭の中は、“サガダ。観光しなくちゃ”。といった思考で一杯でした。とっても残念だったのですが、すごくいい経験になりました。彼らを巻き込めるぐらいの熱と勢いをもっともっと。

 このプロジェクトは後日、新聞や雑誌等に掲載されました。

CORDILLERA VOICE~Gold from Bean  to Cup 

 

 今回のサガダ訪問で、ワークショップ終了後、幾つかの農園を訪問しました。とっても、健康そうなコーヒーの木でした。特に深刻な病気もなく、すくすくと育っており、実がたわわになっていました。土壌がフカフカで、腐葉土が多く見受けられました。やはり、土壌は大事だなぁと思いました。